こわいごはん=かたいごはん

今日の毎日新聞朝刊に,またまた方言ネタが載っていたので紹介してみます。国語の授業で使ったりしても,面白い話ができそうだね。大学時代,名古屋出身の友達がタイトルのように言って,ショックを受けた覚えがあるなぁ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/katei/news/20061115ddm013100041000c.html
続・呼び名で分かる:意味が違う!編 いきなり・しんけん・えらい…“とても”豊富
 ◇いきなり・しんけん・えらい・なまら・でら・めっちゃ・ぶち・ばり…

 読者アンケートで「共通語だと信じていたが、よそでは通じなかった」言葉を紹介する「呼び名で分かる」。第4弾は「音が同じなのに、意味が違った!」と驚いた言葉がテーマです。ちなみに私の出身地・福岡では、物を片付ける、しまうことを「なおす」と言います。「これ、なおして」と言っても、修理を依頼しているわけではありません。【銅山智子】

 ◇偉い?怖い?

 「なおす」は九州各県のほか、西日本の広い地域で通じる。

 「いかにも方言」という響きでなく、共通語と同じ音を持つ言葉は、つい普通に使ってしまいがちで、方言と気付かないこともあるようだ。

 「えらい」「こわい」「きつい」「せこい」−−これらは、すべて「疲れた」という意味で使われている。

 「他県の病院に入院中に『先生、私、えらいんです』と訴えたら、医者に『自分で(自分のことを)偉いと言うなんて』とあきれられた」(島根・70代)、「体育大学出身です。講義の後、あちこちで『えらい』『こわい』という声が聞こえたときは、頭の中が???でいっぱいでした」(埼玉・40代)といった体験談も寄せられた。

 ちなみに「こわい」は富山や埼玉では「硬い」という意味で使われている。「この肉、こわいよ」と言った具合だ。

 机を持ち上げて運ぶことを、愛知や岐阜、三重、長野では机を「つる」、愛媛や徳島では「かく」と言う。標準語で「かく」は「背中をかく」などと使うが、これも山梨や静岡では「背中をかじる」となるようだ。

 ◇ボーナスあたる/カネくだく

 「つぶれる」「めげる」「やぶれる」は、それぞれ大阪、兵庫、山口で「壊れる」の意味で使われる。香川、徳島など四国では「こぼれる」ことは「まける」。石川や富山では「もらう」ことを「あたる」と言うらしい。「ボーナスあたった」と言うと、まるで宝くじのようだ。

 お金を「こわす」「くだく」「わる」「こまめる」は、すべて「両替する」の意味。「大きなものを小さくする」というニュアンスは、伝わってくる。静岡では、お釣りを「おかえり」と呼ぶとか。

 ほかにも▽ごみを「投げる」(=捨てる、北海道や東北各県)▽鍵を「かう」(=かける、愛知)▽手袋を「はく」(=はめる、北海道)▽米を「かす」(=とぐ、愛知など)▽電車が「つむ」(=込む、三重)▽歯が「はしる」(=痛む、広島)−−など、他の地域の人には意味が通じそうにない動詞が数多く寄せられた。

 ◇たちまちビール/しみじみやれよ

 強調などに使われる副詞にも、違う意味で使われているものがある。

 広島では「たちまち」は「とりあえず」の意味。居酒屋では「たちまちビール!」と注文するらしい。山形で「べらぼう」は「当てずっぽう、うそ」。「べらぼう言うな」と怒られたりするそうだ。

 茨城では「しみじみ」を「きちんと、しっかり」の意味で使う。学生時代、茨城県でアルバイト先の社員に「しみじみやれよ」と声をかけられ、ついのんびりしてしまった経験が私にもある。滋賀で「ほっこり」は「うんざり」。「今日の会合は、ほっこりした」と聞けば、なんだかいいことのように思えるが……。

 「とても、たいへん」は宮城で「いきなり」、大分で「しんけん」、大阪や京都では「えらい」。「いきなりおいしい」「しんけんすごい」といった具合に使われる。

 この、英語で「very」に当たる方言はバリエーションが豊富だ=地図参照。有名なところでは▽なまら(北海道、新潟)▽でら(愛知)▽めっちゃ(大阪)▽ぶち(広島、山口)▽ばり(福岡)−−など。岩井志麻子さんの小説「ぼっけえ、きょうてえ」や、島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」などのように、本のタイトルになった方言もある。

 熊本の「むしゃんごつ」は「武者のごとく」、「まーごつ」は「舞うごとく」からきた言葉らしい。

 ◇お静かに

 あいさつなどの表現も意味が違うことがある。

 鳥取で「ようこそ」と言えば「ありがとう」の意味。和歌山や愛媛で「こらえて」は「ごめんなさい」。石川で、人の家を訪問したとき「お静かに」と言われれば「ごゆっくり」の意味だ。「うるさい」としかられたのではないのでご安心を。

 「ためらって」は、富山で「体に気をつけて、道中気をつけて」の意味。別れ際にこう言われれば、つい帰るのをやめてしまいそうだ。(次回は言葉遊び編)